荒川静香選手の銀盤の舞が、世界を魅了し、SP3位から逆転の金メダルを獲得した。
前日午前2時まで会社で仕事をした後、家に帰って、仮眠をとり、フィギュア中継に合わせて起床した。最終組の演技が始まるまでは、横になりながら観ていたが、最終組からは、起き上がって、感動の瞬間を逃さないように真剣に観た。特に、コーエン選手、荒川選手、村主選手、スルツカヤ選手の時は、正座をしながら、演技に見入っていた。
結果は、SP上位2選手が、ジャンプに失敗する中、”Level4”含む難易度の高い技をノーミスでみせた荒川選手が逆転で優勝した。荒川選手は、スピン、ステップワーク、スパイライルシークエンス、ジャンプとしっかりとした技術力をベースに、世界の2強に比べて、背が高く、手足が長いというアドバンテージを生かした優雅な演技は、世界中を魅了した。
昔、日本の女子フィギュアを引っ張った伊藤みどり選手は、誰よりも高いジャンプで、世界の強豪と渡り合い、アルベール五輪では、女子選手としては五輪初となるトリプルアクセルを決め、銀メダルに輝いた。伊藤みどり選手のジャンプは、まさに、「One and Only」のもので、世界にも認められたが、所謂日本人体型であったため、容姿の面で、カトリーナ・ビット選手やクリスティ・ヤマグチ選手らに劣り、結局、芸術点(Artistic Impression)で差をつけられ、世界チャンピオンにはなれなかった。
かたや荒川選手は、容姿の面でも、世界トップレベルであり、日本人も変わったなあと実感させられる。ルックスも、欧米人が描く「オリエンタルビューティー」タイプだと思う。また、コスチュームも素晴らしく、荒川選手の魅力を引き立ていると思った。逆に安藤選手のコスチュームは、”世界のワダ・エミ”さんがデザインしたが、彼女の良さを引き立てているようには、自分には感じられなかった。また、安藤選手については、選曲も、しっとりとした曲調のものでなく、もっと、彼女の躍動感あふれる演技を引き立てるような曲の方が良かったように思う。まあ、安藤選手は、まだ、18歳と若い。荒川選手も、スルツカヤ選手も、コーエン選手も、男子フィギュアのスーパースター・プルシェンコ選手も、初めての五輪では、実力を出し切れなかった。五輪で4回転サルコーをトライした経験は、必ず、今後生きてくると思う。
今回のフィギュア中継を見て感じたことに、刈屋アナの実況の素晴らしさがある。アテネ五輪の男子体操団体の実況も感動したが、今回も素晴らしかった。余りノリの良くない解説者・佐藤有香さんと組みながら、決して、日本選手に偏った実況をするのではなく、コーエン選手や、スルツカヤ選手に対するリスペクトの気持ちを持った実況は、聞いていて爽やかだった。そして、荒川選手の金メダルが決まったときには、「トリノの女神は、荒川静香にキスをしました!」という名セリフも飛び出した。おそらく、この実況シーンは、今後何度もテレビで取り上げられ、多くの人の記憶に残る名シーン・名実況となるのだろう。