なでしこJAPANが奇跡を起こしてくれた。ドイツで開催されているFIFA女子W杯大会で、王者アメリカを下し、初優勝を決めた。
準々決勝のドイツ戦、準決勝のスウェーデン戦と、高さとパワーで勝る相手に対して、速いパス回し、戦術、そして、選手一丸となった献身的なプレーで勝ち上がってきた。王者アメリカに対しても、パスサッカーで、パワーサッカーを制したいと期待していたが、試合序盤から、アメリカの速いパス、速いプレス、そしてパワーと高さに圧倒されてしまった。Wボランチの#10ロイド、#7ボックスは、何度も日本のパスを奪って日本の攻撃を絶ち、攻めては、攻撃の起点となってパスを前線に配給し、完全に試合をコントロールしていた。MF#9オライリー、途中出場のFW#13モーガンのスピードは素晴らしく、FW#20ワンバックの高さ、パワーは本当に脅威だった。また、DF陣のスピードも素晴らしく、日本のFW陣にDFラインを割って入ることを許さなかった。モーガン選手、ワンバック選手のシュートは、最早、女子サッカーのレベルではなく、完全に男子選手のシュートだ。試合が進むにつれ、実力の差を感じさせられた。
延長に入り、ワンバック選手のヘッドで勝ち越しを許した時、ここで力尽きたかなあと思ったが、決められた後、直ぐに、笑顔で選手たちを鼓舞するキャプテン澤選手の姿に胸が熱くなった。まだ、選手たちはあきらめていない、必ず、追いついてくれるだろうと信じて、テレビの前で、声をあげて応援した。そして、延長後半12分に奇跡が起こった。宮間選手のコーナーキックに、澤選手が合わせ、難しい角度からシュートを決めてくれた。ボールがゴールネットを揺らした瞬間、早朝にも拘わらず、思わず大きな声をあげてしまった。それにしても、あの場面で決めることのできる澤選手の決定力、精神力というのは本当に素晴らしい。まさにスーパースターだ。同点ゴールだけでなく、試合を通じて、前線に巧みにパスを配給し、何度も相手のパスを奪い、シュートを防いだ。そして、常に笑顔で選手たちを鼓舞し、攻守にわたってチームを牽引した。
延長でも決着せず、PK戦となった。世界NO.1GKソロ選手が相手なだけにPK戦は厳しいと思ったが、PK戦前、円陣を組む日本選手の表情を観て、これはいけると確信した。出場している選手だけでなくサブの選手達、監督、コーチ、チーフスタッフの全てが、お互いをリスペクトし信頼し合っているからこそ生まれる表情なんだと思う。
そして、PK戦では、GK海堀がスーパーセーブを連発した。選手達の想い、今まで日本女子サッカーを築き上げてきた人達の想い、日本で応援している人達の想いが乗り移ったような熱いプレーだった。
高さ、パワー、スピードに勝る相手に対して、逃げることなく、真向から挑み、巧みなパス回しと、最後まで諦めない強靭な精神力によって、奇跡の勝利を呼び込んだ。サッカーがチームスポーツであることを証明してくれた。PK戦前の彼女たちの笑顔、勝利を決めた後の緊張から解き放たれた彼女達の笑顔を観て、涙を止めることができなかった。スポーツの素晴らしさを改めて実感させてもらった。
ありがとう!なでしこJAPAN! あなたたちの笑顔は忘れません!