熱戦が繰り広げられていたプロ野球クライマックスシリーズも、セパ両リーグ、同日に日本シリーズ出場チームが決定した。セリーグは巨人、パリーグは日ハムと、リーグ優勝チーム同士の対戦となった。いわば順当な結果となった。
タイガースが、シーズン序盤からリーグ優勝戦線から脱落し、CSにも出場できなかったことは、やぱり悔しいしショックではあったが、今シーズンの結果については、これで良かったんじゃないかと正直思っている。真弓監督の選手起用・采配については、理解できない部分も多々あったが、監督1年目であるし、選手の特徴や力量を把握し、掌握するのに時間がかかるし、真弓監督は、これまで監督経験がない訳であるから、不慣れな事や戸惑いもあったと思う。2軍ではあるが、監督経験のある岡田前監督と比べると酷かも知れない。星野さんも、タイガース1年目は4位だったし、岡田さんも、4位だった。真弓監督も同じ4位だ。ということは、来年優勝の確率が高まってきたということか。今季は、選手補強や選手入れ替え・コーチ陣入れ替えも積極的に行われず、現有戦力の底上げをテーマに開幕したが、結局、昨シーズンオフに揃って手術したアラフォー3人衆が、本来の力を出せず(力の衰えを隠せずとは言いたくないが)、アラフォー3人衆に代わるチームの牽引役として期待した選手も結果を残せずに、シーズンが終わってしまった。これで、来季に向けて、真剣に、選手補強・選手入れ替え・コーチ/スカウト等首脳陣の入れ替えが、進んでくれればと思う。
一方、ジャイアンツは、昨年、坂本、亀井、山口、越智といった若手選手を積極的に起用して育成成長させ、シーズンオフには、二岡を放出するなど、ここ数年かけて、工藤、江藤、仁志、清水等の高年俸ベテラン選手を放出し、選手の入れ替えを推し進め、若手選手の出場機会を増やしてきた結果、今シーズンは、野手では松本、投手では東野、オビスポなど、着実に新しい戦力が育っていっている。これは、敵将ながら原監督の手腕を認めざるを得ない。
ドラゴンズも、川上、ウッズというエースと4番が抜けながら、吉見、チェン、ブランコが、大活躍し、選手の入れ替えが成功した。落合監督の手腕も相変わらず素晴らしい。
自分は、虎ファンであると同時にアンチGなので、G戦は、常にGの対戦チームを応援しているのだが、今回のCSについては、ドラゴンズを応援する気持ちになれなかった。落合監督は、日本を代表する名将の一人だが、自分の中で、理解できないことがある。今年3月、日本中の野球ファン、スポーツファンを熱狂させた第2回WBCの日本代表に、ドラゴンズの候補選手は、怪我を理由に代表選出を辞退し、ドラゴンズからは誰もWBCに出場しなかった。日本代表監督の声もあった落合監督も、早々に監督辞退を宣言した。以前、オールスター戦でも、ファン選出された福留を、怪我を理由に出場辞退させたかと思うと、後半戦開幕から休養十分な福留が大爆発したことがあった。落合監督は、チームの勝利が、優勝することが、最大のファンサービスだと考えているのだと思う。決して、ルール違反をしている訳ではなく、ルールを守りながら、勝利のため、優勝のために出来る最大限のことをしているのだと思うが、なんか、しっくりと来ないものがある。一方、原監督は、現役監督の中で(ノムさんを除き)引き受けてのいなかった代表監督を快く引き受け、シーズン前の重要な時期にチームを離れて日本代表を率い、誰もが難しいと思った大会2連覇を成し遂げた。また、ドラゴンズが誰一人として選手を出さなかったのに対して、ジャイアンツは、選手を積極的に派遣した。そんなこともあり、今年のCSは、落合ドラゴンズではなく、ペナントを独走優勝した原ジャイアンツが、勝った方がいいと思った。
パリーグは、日ハムが、地力の違いを見せつけ、楽天を退け、日本シリーズ進出を決めた。エース・ダルビッシュを欠きながらの勝利は立派のものだと思う。派手な選手はいないが、稲葉を始め、野球を知り尽くした、走攻守バランスの良い選手が多い。状況に応じたバッティングや走塁、守備が出来る選手が多いので、連敗が少ない。野村監督時代のヤクルトのようなチームだ。
個人的には、楽天に、日本シリーズに出場してもらい、仙台でジャイアンツと戦って欲しいと思っていた。今季限りで退団することが決まっている野村監督に、有終の美を飾って欲しいと願っていた。野村監督は、球団創設2年目からチームを率いて4年目の今シーズン、ついにリーグ戦2位でCS初出場を果たした。残念ながら、日本シリーズ出場の夢は果たせなかったが、今シーズンの楽天は、日本プロ野球界を大いに盛り上げてくれたと思う。初戦のスレッジの逆転サヨナラ満塁本塁打がなければ、楽天が、日本シリーズ出場を決めていてもおかしくない位に、熱戦の連続で、野球ファンを楽しませてくれた。
試合終了後、ライトスタンドの楽天ファンに挨拶をする野村監督の元に、日ハムの吉井投手コーチが駆け寄り握手をすると、続いて、稲葉が野村監督のもとに駆け寄り、両チームの選手によって、野村監督が胴上げされ、札幌ドームには、「ノムラコール」が響き渡った。梨田監督も、野村監督と握手し、深々と頭を下げていた。梨田監督にとって、楽天は、近鉄監督時代の教え子がたくさんおり、思い入れがあるのだろう。その後、グランドでは、両軍の選手同士が、肩を叩きあったり、握手をしたり、お互いの健闘を称え合っていた。野村再生工場の代名詞的存在であった山崎武は、目を真っ赤にして、野村監督への感謝の気持ちと、CSで負けた悔しい思いを話していた。志願登板しながらも、スレッジにダメ押し3ランを打たれたエース岩隈も悔し涙を流していた。負けるのが当たり前だったチームが、試合に負けたことに、こんなにも悔しく思い涙を流している。この姿を見て、野村監督も、選手達の成長を感じるとともに、嬉しく思っていることと思う。また、野村監督も同様に、負けたこと、チームをリーグ2位まで躍進させながら解任されたことに、悔しい思いをしていることだろう。この悔しい思いがある限り、野村監督は、何がしかの形で、野球に携わり、我々、野球ファンを楽しませてくれるに違いない。
野村監督、どうもお疲れ様でした。